何か吐いてみる//
乙式、主に暇人干身がだらだらと萌えに任せて吐き出す場所です。創作戦国について主に吐き出しています。同人、腐要素、注意報常時発令中です。
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2009/05/11 (Mon) 葛葉




 追記に、治長娘の葛葉+米村さんの娘でSSS崩れをば。
夏の陣後の葛葉と米村さん父娘の境遇は「落穂集」を元にしています。「落穂集」だと、葛葉は千に侍女として仕えているので、そんな感じで。
 葛葉に殉死したという米村さん娘は名前が不明なので、勝手に「沙智」という名前にしております。ご了承下さい。




 








 日も傾きかけてきたと言うのに、未だ強い日差しの残り香に打ち水は炙られ乾いていく。折り重なる蝉の啼き声に、身を任せてしまおう。
 白く乾いた地面を覆う橙色、同じ色に染まった縁には黒い影が一つぽつねんと。たった一つであるはずの影その傍らにもう一つ、黒いそれが現れたのは小さな軋みを伴いながらだった。
「姫様、そろそろ中へお戻り下さい」
「姫様とは、誰のことを指しているのですか」
「………お戻り下さい、葛葉様」
「まだ平気よ。大丈夫」
 現れた影の持ち主をわざわざ仰ぎみずとも、誰であるのかくらい分かる。仰ぎ見る代わりに、最期のあがきのように射光を放つ日を眺めた空はもう、端々から桃色と藍が指先を伸ばし始める頃に差し掛かっている。
「御方様がご案じなさっております。薬師や医僧を手配して下さるお心遣いを無碍にするような真似は、慎むべきかと」
「そう……御方様には、お礼を言わなくてはね。私のような者を傍に置き続けて下さるのですから。一生涯をかけても、返しきれない御恩です」
 既に物の用にも立たない私を、置いて下さっている。
薄っぺらい頼りない胸に両手を重ねてみた確かに伝わるこの鼓動を感じても、安堵の息をつくことは出来ない。いつ、塵芥になってしまうか知れないこんなものを抱えたまま御方様のお傍へあり続けることに、時折苦しさが喉を締め付ける。私はもう、御役には立てないというのにそれでも、御方様はお傍に私を置いて下さった。 


 「罪人」の子として召しだされるはずの私を、守り続けて下さった。


「ねぇ、沙智」
「はい」
「綺麗ですね」
 落ち行く日が堪らなく美しいと私は思う。
 絶えず囁く蝉の啼き声を堪らなく愛しく思う。
「父様も兄様達もお祖母様も叔父様達も、この夕日を見たのでしょうか」
 見たに違いないと、確信している私がいる。あまりに幼かった私の瞳孔にそれでも未だ焼きついている光があるのだから落ちて行く日の光と、燃え盛る御城の光と、決して消えることの無い二つの光。どちらも、あまりに綺麗に過ぎて鮮やかに過ぎて。今鼓動を打ち続けている胸裏にあるものが塵芥と化すまで、消えることはきっと無い。
 重ねた両の手に、力を込める。青白い手の甲へ細い骨が浮いた。
「父様と兄様達は、母様に」
 会えたのでしょうか。全て、言いきるはずだった私を遮る呼気が鼓膜をなぞった。傍ら、影の持ち主。
「姫様がしかと供養をなさい続けますれば、恐らくは」
 初めて、傍らの影を仰ぎ見る。
なだらかに橙へ染められた顔はじっと私を見下ろしていて、小さく、微笑みをその揺るぎ無い双眸へと返した。父と母と兄達と、祖母の弔いは私の役目残された私に唯一出来ること。
 先細りに消えていく蝉の啼き声へ追い縋るような真似は、してはいけないのだ。まだ、きっと。




 崩れかかる胸裏の鼓動が、必死に声をあげていた。












 病身の葛葉へ色々手を尽くしてくれたり、自分の死期を悟った葛葉の「死ぬ前に父母の墓を詣でたい」なんてお願いに、関所の手形やお金を工面してくれる千の優しさから、千が大坂城で過ごした日々を伺い知れるようで凄く涙腺に揺さぶりをかけてきやがります← 米村さんとも知り合いだったっていうから、治長と親交があったんだろうなぁ、千。もっと長生きしていたら、千の世話で、本多家に仕える人の家とかに嫁いでたりしたのかと思うと、こう、ぐっと。葛葉の旦那は、きっと千が世話していたに違いない。もしかしたらのことを考えてもどうしようもないんですが、折角城から生き延びたのに享年17歳って…切な過ぎる。
 徐々に衰弱していく葛葉と、それに付き従う米村さん父娘の旅路を考えると、もう駄目だ。泣く←
もしかしたら、米村さん、娘が葛葉に殉死するつもりであるのを知っていながら、敢えて知らないふりしたんでねぇかな。治長と一緒に死ねなかった自分の代わりを娘にやらせたんじゃないの妄想に、あああああってなります(お前) 




 
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